しょうが|「体を温める」だけじゃない、いつもの香味野菜
冷奴の薬味にしたり、炒め物に加えたり。
寒い日には、しょうがを入れた温かい飲み物が恋しくなることもあります。
しょうがと聞くと、
「体を温める食材」
というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
もちろん、それもしょうがの一面。
でも薬膳の視点から見てみると、いつも使っている生のしょうがと、乾燥させたしょうがでは、少し違った捉え方をします。
今回は、そんな身近なしょうがを見てみましょう。
🌿 しょうが ひと目メモ
食材名:しょうが(生姜)
五性:温(微温)
五味:辛
帰経:肺・脾・胃
旬:8〜11月ごろ
ポイント:辛味と香りを持ち、料理にも薬味にも使いやすい食材
こんな日に:冷えを感じるとき、食欲がいまひとつのとき、冷たいものが続いたときなど
いつもの食べ方:薬味、味噌汁、スープ、煮物、炒め物、炊き込みごはんなど
※五性・五味・帰経は、中医学・薬膳で食材の性質を捉えるときに使われる考え方です。
しょうがは、やっぱり「温」の食材
薬膳では、生のしょうがは「温(微温)」、五味は「辛」とされています。
冷奴やそうめんの薬味にも使うので、夏にもおなじみですよね。
暑い季節に温性のしょうが?
と思うかもしれません。
でも、大葉やみょうがと同じように、夏の食卓は冷たいものが増えがちです。
そんな食事に、しょうがを薬味として少し添える。
冷ますものと温めるものを、食卓の中で上手に組み合わせる。
「暑いから冷たいものだけ」と考えないところも、薬膳のおもしろさです。
「食欲がないな」という日にも
薬膳では、生姜には胃を温め、吐き気を抑える「温胃止嘔」という働きがあるとされています。
しょうがを刻んだり、すりおろしたりしたときの、あの香りと辛味。
暑さでなんとなく食欲がない日にも、薬味として少し加えると、いつもの料理の印象が変わります。
冷奴に少し。
そうめんに少し。
味噌汁やスープに少し。
「しょうがを食べなくちゃ」ではなく、
今日はしょうがを少し加えてみようかな。
そのくらいでいいと思います。
生のしょうがと「乾姜」は同じ?
ここが、しょうがのおもしろいところです。
薬膳・中医学では、生のしょうがを生姜(しょうきょう)、生姜の根茎を乾燥させたものを**乾姜(かんきょう)**として区別します。
生姜
五性:温(微温)
五味:辛
帰経:肺・脾・胃
生姜は、体の表面にある寒さを散らしたり、胃を温めたりする食材として考えられています。
乾姜
五性:熱
五味:辛
帰経:脾・胃・腎・心・肺
乾姜は、生姜よりも「熱」の性質が強くなります。
乾燥させることで、生のときより発散する力は弱くなる一方、体の内側を温める働きは強くなると考えられています。
同じ「しょうが」なのに、
生なのか、乾燥しているのかで性質の捉え方が変わる。
薬膳を知ると、こんなところも面白く見えてきます。
「しょうが=たくさん食べれば温まる」ではありません
体を温めると聞くと、
「冷えるから、しょうがをたくさん摂ろう」
と思ってしまいそうです。
でも、薬膳では何でも多ければよいとは考えません。
しょうがは辛味と温性を持つ食材です。
体に熱がこもっているようなときや、食べすぎには注意が必要とされています。
特に乾姜は、生姜より熱性が強いもの。
普段の食事で使うしょうがと、薬膳・中医学で使われる乾姜を、まったく同じものとして考えないほうがよさそうです。
その日の自分に合わせて、ほどほどに。
これも養生の大切な考え方です。
いつもの食卓なら、どう使う?
しょうがは、毎日の料理にとても取り入れやすい食材です。
たとえば、
- 冷奴やそうめんの薬味に
- 味噌汁やスープに
- 肉や魚の煮物に
- 炒め物の香りづけに
- 炊き込みごはんに
- 紅茶などの温かい飲み物に少量加える
わざわざ「薬膳料理」を作らなくても、普段の食事の中にしょうがはたくさん登場しています。
改めて見てみると、
「これも養生だったんだ」
と思える食べ方が見つかるかもしれません。
🥕 栄養のことも少しだけ
ここからは薬膳とは分けて、現代の食品成分の話です。
しょうがの特徴的な辛味や香りには、ジンゲロールやショウガオールなどの成分が関係しています。
ただ、しょうがも大葉やみょうがと同じように、一度に大量に食べる食材ではありません。
特定の成分をたくさん摂るためではなく、
香りや辛味を楽しみながら、いつもの料理に少し取り入れる。
そんな付き合い方が、毎日の食卓にはなじみやすそうです。
🌿 今日の食卓で、一つだけ
今日は味噌汁に、
しょうがをほんの少し加えてみませんか?
いつもの味噌汁も、しょうがの香りが加わると少し違った一杯になります。
そして今度しょうがを手に取ったとき、
「生のしょうがと乾燥したしょうがでは、薬膳では捉え方が違うんだったな」
と思い出してみる。
食材をひとつ知るだけで、いつもの食卓がちょっとおもしろくなる。
そんなところから、ゆるりと薬膳を楽しんでいきましょう。
参考図書
この記事を書くにあたり、薬膳における食材の性質や働きについて、以下の書籍を参考にしました。
ブクログ 参考図書を集めた本箱

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