ゆるり薬膳部|食材図鑑 No.10 ぶどう

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ぶどう|夏の疲れが残るころ、旬の甘さを薬膳の視点から

夏の終わりから秋にかけて、スーパーや果物売り場にたくさんのぶどうが並びます。

巨峰、ピオーネ、シャインマスカット。

種類もいろいろあって、どれにしようか迷うのも、この季節の楽しみですね。

まだまだ暑い日は続いているのに、なんとなく体が重い。

しっかり休んだはずなのに、疲れが抜けない。

そんな夏から秋への変わり目に、薬膳ではぶどうをどのように見ているのでしょう。

今回は、旬のぶどうを薬膳の視点から見てみましょう。


🌿 ぶどう ひと目メモ

食材名:葡萄(ぶどう)
五性:平
五味:甘・酸
帰経:脾・肺・腎
収穫時期:初夏〜秋
使用部位:実・皮・種
ポイント:薬膳では、気や血を補うという視点を持つ食材です
こんな日に:夏の疲れが残っているように感じるとき、季節の変わり目の食卓に
いつもの食べ方:そのまま、デザート、ジュース、煮物など

※五性・五味・帰経は、中医学・薬膳で食材の性質を捉えるときに使われる考え方です。


ぶどうは「平」の食材

薬膳では、ぶどうは**「平」**に分類されています。

「平」は、体を温めるほうにも冷ますほうにも大きく偏らない性質。

食材図鑑でこれまでご紹介してきた梨は「涼」、れんこんは「寒」でした。

同じ秋に旬を迎える食材でも、薬膳で見てみると、それぞれ性質が違います。

ぶどうの五味は**「甘・酸」**。

帰経は**「脾・肺・腎」**とされています。

いつも何気なく食べているぶどうも、こうして見てみると、また違った一面がありますね。


夏の疲れ、残っていませんか?

9月になっても、日中はまだ暑い日が続きます。

でも、朝晩には少しずつ秋の気配。

こんな季節の変わり目になると、

「なんとなく疲れる」

「体が重い」

「夏の疲れが抜けない気がする」

そんなことはありませんか。

暑い夏を過ごした体は、知らないうちに疲れていることもあります。

薬膳では、ぶどうには**「補血補気(ほけつほき)」**という働きがあるとされています。

「気」と「血」は、中医学で体を支える大切なもの。

難しく考えず、

ぶどうは、薬膳では「補う」という視点から見る食材なんだ

と覚えておくとよさそうです。


「脾」に帰るということ

ぶどうの帰経には、脾・肺・腎があります。

中でも、ゆるり養生で大切にしているのが「脾」。

中医学でいう脾は、食べたものを受け取り、そこから体に必要なものを作り出していく働きと深く関係しています。

夏の間、

冷たいものが続いた。

食欲が落ちていた。

食事が不規則になっていた。

そんな方は、秋になったからと急に元通りになるわけではありません。

まずは毎日の食事を少しずつ整えていく。

旬のぶどうを楽しむことも、その食卓のひとつに加えてみてはいかがでしょう。


「疲れたから、たくさん食べる」ではなく

ここは大切なところです。

薬膳で「気や血を補う」とされているからといって、

疲れているなら、ぶどうをたくさん食べればいい

ということではありません。

ゆるり養生で大切にしているのは、

食べる量ではなく、消化できる量。

体にいいと聞くと、つい「たくさん食べたほうがいいのかな」と思ってしまいます。

でも、たくさん食べることが、そのまま養生になるわけではありません。

今日は数粒、旬の味を楽しんでみよう。

そのくらいからで十分です。


むくみが気になるときにも?

参考図書には、ぶどうの働きのひとつとして**「利尿消腫(りにょうしょうしゅ)」**も記されています。

薬膳では、尿の排出を促し、むくみに関わる働きを表す言葉です。

夏から秋への変わり目には、

「なんとなく体が重い」

「夕方になると足が気になる」

と感じる方もいるかもしれません。

ただし、むくみにはさまざまな原因があります。

ぶどうを食べればむくみが解消するという意味ではなく、

薬膳では、ぶどうにこんな見方もある

ということとして覚えておきたいですね。


皮や種にも目を向けてみる

今回の参考図書では、ぶどうの使用部位として実・皮・種が挙げられています。

現代の栄養の視点でも、ぶどうの皮にはポリフェノールが含まれることが知られています。

最近は皮ごと食べられる品種も増えました。

もちろん、品種によって食べ方は違います。

皮をむいて食べる。

皮ごと楽しむ。

種のないものを選ぶ。

その日の気分や好みに合わせて楽しみたいですね。


🍇 栄養のことも少しだけ

ここからは薬膳とは分けて、現代の栄養の視点からぶどうを見てみましょう。

ぶどうには炭水化物やカリウムなどが含まれています。

参考図書には、たんぱく質、炭水化物、カリウム、ビタミンなどが栄養成分として記載されています。

また、赤ワインにはポリフェノールが含まれていることも紹介されています。

ただ、ここでも「○○が含まれているからたくさん摂ろう」ではなく、

旬の果物を、おいしく適量いただく。

そんな楽しみ方を大切にしたいと思います。


梨、いちじく、ぶどう。それぞれ違う秋の果物

これまで食材図鑑では、

梨。

いちじく。

そして今回のぶどう。

秋においしい果物をいくつか見てきました。

同じ秋の果物でも、薬膳での捉え方はそれぞれ違います。

「秋には何を食べればいい?」

と一つの正解を探すのではなく、

今の自分は、どんな感じかな?

と体に目を向けながら、旬のものを選んでみる。

食材図鑑が、そんな小さなきっかけになればうれしいです。


🌿 今日の食卓で、一つだけ

ぶどうがおいしい季節です。

冷蔵庫から出して、すぐにたくさん食べるのではなく、

今日は少しだけ、ゆっくり味わってみませんか。

甘さや酸味を感じながら、

「ああ、秋が近づいてきたな」

と思う時間も、季節の養生のひとつ。

体にいいから食べるのではなく、旬だからおいしくいただく。

そんなところから始める、ゆるり薬膳もいいですね。


参考図書

この記事を書くにあたり、薬膳におけるぶどうの性質や働きについて、以下の書籍を参考にしました。

  • 辰巳洋 主編・日本国際薬膳師会 編『早わかり薬膳素材―食薬の効能・性味・帰経』源草社
  • 辰巳洋 主編『改訂新版 薬膳素材辞典―健康に役立つ食薬の知識』源草社

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