ゆるり薬膳部|食材図鑑 No.7 梨

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梨|夏の終わり、みずみずしい梨から秋の養生を

スーパーに梨が並び始めると、

「そろそろ秋が近づいてきたな」

と感じます。

まだまだ暑い日は続いているけれど、朝晩の空気や風の中に、少しずつ季節の変化を感じるころ。

そんな時期に旬を迎えるのが、みずみずしい梨です。

シャリシャリとした食感と、口いっぱいに広がる果汁。

暑さが残る日に食べる梨は、とてもおいしいですよね。

薬膳の視点から見てみると、梨はこれから迎える乾燥する季節の養生にもつながる食材です。

今回は、秋の入口に食べたい梨を見てみましょう。


🌿 梨 ひと目メモ

食材名:梨
五性:涼
五味:甘・微酸
帰経:肺・胃
:夏〜秋
ポイント:体の熱を冷まし、潤いを補う食材として考えられています
こんな日に:暑さが残る日、口や喉の乾燥が気になるときなど
いつもの食べ方:生食、サラダ、スープ、蒸し物、デザートなど

※五性・五味・帰経は、中医学・薬膳で食材の性質を捉えるときに使われる考え方です。


梨は「涼」の食材

薬膳では、梨は**「涼」**に分類されます。

「涼」というのは、冷蔵庫で冷やしているから、という意味ではありません。

食材が持つ性質を、

寒・涼・平・温・熱

などに分けて考えるのが五性です。

梨はその中でも、体の余分な熱を穏やかに冷ます「涼」の食材として考えられています。

まだ暑さの残る夏の終わりから秋の初め。

そんな季節に旬を迎えるというのも、おもしろいですね。


秋になると気になってくる「乾燥」

秋が深まってくると、暑さが少しずつ落ち着く一方で、空気が乾燥してきます。

薬膳では、秋は**「肺」**と関わりの深い季節と考えます。

梨の帰経を見ると、

肺・胃。

まさに「肺」が入っています。

そして梨には、薬膳で**「生津潤燥(しょうしんじゅんそう)」「滋陰潤肺(じいんじゅんぱい)」**という働きがあるとされています。

難しい言葉ですが、

体に必要な潤いを補い、乾燥を和らげる

というイメージで考えると分かりやすいでしょう。

口や喉がなんとなく乾く。

肌の乾燥が少し気になってきた。

そんな変化を感じ始める季節に、梨が旬を迎えます。

旬の食材と季節の養生が重なるところも、薬膳のおもしろさのひとつです。


みずみずしい梨も、たくさん食べればいいわけではありません

「秋の乾燥には梨がいい」

と聞くと、

「それなら、たくさん食べよう」

と思ってしまいそうです。

でも、ここで思い出したいのが、梨は涼性の食材だということ。

薬膳の資料でも、胃腸が冷えて下痢をしやすい人などは控えるよう注意されています。

暑さが残っているときにはおいしく感じても、季節が進んで肌寒くなってきたら、同じ食べ方が合うとは限りません。

食材は、

「体にいいから食べる」

のではなく、

今の自分にはどうかな?

と考えてみる。

それが、毎日の養生につながります。


冷蔵庫から出したて? 少し置いてから?

梨は冷たくして食べるのもおいしいですよね。

でも、梨そのものが「涼」の性質を持つ食材です。

冷えが気になる日なら、冷蔵庫から出してすぐではなく、少し置いてから食べてみるのもひとつ。

また、梨は生で食べるだけでなく、蒸したり、スープやデザートに使ったりする食べ方もあります。

季節や体調によって、

「今日はどう食べよう?」

と考えてみる。

同じ食材でも食べ方を変えられるところが、毎日の食養生のおもしろいところですね。


梨の「甘・微酸」も味わってみる

梨の五味は、「甘・微酸」

ひと口食べると、まず感じるのはやさしい甘さ。

その中に、ほんの少し酸味を感じる梨もあります。

普段は、

「甘くておいしい」

で終わってしまうけれど、

今日は少しゆっくり噛んで、

「甘味はどうかな?」

「酸味も感じるかな?」

と味わってみる。

薬膳をきっかけに、いつもの食材を丁寧に味わってみるのもいいですね。


🥕 栄養のことも少しだけ

ここからは薬膳とは分けて、現代の栄養の視点から梨を見てみましょう。

梨は水分を多く含む果物です。

食物繊維やカリウムなども含まれています。

そして梨といえば、あの独特のシャリシャリとした食感。

梨には「石細胞」と呼ばれる、細胞壁が厚くなった細胞が含まれていて、これが梨らしい食感の一因になっています。

薬膳では「潤い」という視点から。

現代の栄養学では、水分や栄養成分という視点から。

同じ梨をいろいろな角度から見てみると、いつもの果物が少し違って見えてきます。


夏から秋へ。食卓も少しずつ変えていく

季節は、ある日突然変わるわけではありません。

まだ暑い日もある。

でも朝晩は少し涼しくなってきた。

空気も少し乾いてきたような気がする。

そんな小さな変化を感じながら、食卓も少しずつ次の季節へ。

夏に食べていたものを全部やめる必要もなければ、「秋だからこれを食べなくちゃ」と頑張る必要もありません。

スーパーに並び始めた旬のものをひとつ手に取ってみる。

季節を食卓に少し取り入れる。

それくらいから始めるのが、ゆるり養生にはちょうどいいと思います。


🌿 今日の食卓で、一つだけ

梨をひとつ用意したら、

今日はいつもより少しゆっくり味わってみませんか?

シャリッとした食感。

口に広がる果汁。

やさしい甘味と、ほんの少しの酸味。

そして、

「秋が近づいてきたな」

と季節を感じてみる。

旬の食材を楽しむことも、毎日の小さな養生です。


参考図書

この記事を書くにあたり、薬膳における梨の性質や働きについて、以下の書籍を参考にしました。

  • 辰巳洋 主編・日本国際薬膳師会 編『早わかり薬膳素材―食薬の効能・性味・帰経』源草社
  • 辰巳洋 主編『改訂新版 薬膳素材辞典―健康に役立つ食薬の知識』源草社

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