れんこん|生と加熱で変わる?秋から冬のれんこんを薬膳の視点で
秋が深まってくると、煮物や汁物など、温かい料理がおいしくなってきます。
そんな食卓に登場する機会が増えるのが、れんこん。
シャキシャキとした食感を楽しんだり、じっくり火を通してほっくりと仕上げたり。
同じれんこんでも、調理の仕方でずいぶん表情が変わりますよね。
今回、薬膳の本でれんこんを調べていて、面白いことに気づきました。
薬膳では、生のれんこんと加熱したれんこんで、働きを分けて考えるのです。
今回は、これから冬に向かっておいしくなるれんこんを、薬膳の視点から見てみましょう。
🌿 れんこん ひと目メモ
食材名:蓮根(れんこん)
五性:寒
五味:甘
帰経:心・脾・胃
収穫時期:冬
使用部位:根茎
ポイント:生と加熱したものでは、薬膳での働きを分けて考えます
いつもの食べ方:煮物、きんぴら、汁物、炒め物、蒸し物など
※五性・五味・帰経は、中医学・薬膳で食材の性質を捉えるときに使われる考え方です。
れんこんは「寒」の食材
薬膳では、れんこんは**「寒」**に分類されています。
これまで食材図鑑を読んでくださっている方なら、
「寒ということは、体を冷ます食材?」
と思われるかもしれません。
基本的には、熱を冷ます方向の性質を持つ食材として考えます。
でも、今回のれんこんは、ここだけで終わらないところが面白いんです。
参考にしている薬膳の本では、れんこんの働きが、
「生」
と
「熟(加熱したもの)」
に分けて記載されています。
同じ食材なのに、食べ方によって薬膳での捉え方が変わる。
これまで以上に、「五性だけで食材を決めつけない」ということがよく分かる食材です。
生のれんこんは「熱を冷まし、潤いを生む」
生のれんこんには、
涼血止血(りょうけつしけつ)
散瘀(さんお)
清熱生津(せいねつしょうしん)
という働きが記されています。
難しい言葉が並びますね。
日々の食養生として注目したいのは、「清熱生津」。
余分な熱を冷ましながら、体に必要な潤いを生み出すという考え方です。
秋になると気になってくる「乾燥」。
梨の記事でも、潤いについてお話ししました。
れんこんにもまた、薬膳では「潤い」という視点があるんですね。
ただし、生のれんこんを積極的に食べることをおすすめするという意味ではありません。
「生のれんこんには、薬膳ではこんな働きがあると考えられている」
まずは、そんな食材の特徴として知っておきましょう。
火を通すと、れんこんの見方が変わる
そして面白いのが、加熱したれんこんです。
参考図書では、熟したれんこんには、
健脾開胃(けんぴかいい)
養血生肌(ようけつしょうき)
止瀉(ししゃ)
という働きが記されています。
中でも毎日の食卓につなげやすいのが、**「健脾開胃」**です。
薬膳でいう「脾」は、食べたものから必要なものを取り込み、体を支える働きと深く関わっています。
「開胃」は、食欲や胃の働きに関わる考え方。
つまり加熱したれんこんは、薬膳では脾胃をいたわる食材としても見られているんですね。
秋から冬には、どう食べる?
れんこんと聞いて思い浮かぶのは、
きんぴら。
煮物。
汁物。
炒め物。
わが家でも、火を通して食べることのほうが多い食材です。
これから気温が下がってくる季節なら、温かい料理にして食べるのもいいですね。
「れんこんは寒性だから、寒い季節には食べない」
と一つの情報だけで決めるのではなく、
季節や体調に合わせて、調理方法まで考えてみる。
それも薬膳の楽しみ方です。
シャキシャキ?ほっくり?食感も楽しもう
れんこんのおもしろさは、調理方法によって食感が変わるところにもあります。
さっと炒めればシャキシャキ。
じっくり煮れば、やわらかく。
すりおろせば、また違った食感になります。
参考図書にも、調理方法として、
粥・ジュース・煮物・デザート・煎服
などが記載されています。
薬膳というと、特別な料理を作らなくてはいけないように感じるかもしれません。
でも、いつもの煮物や汁物だって立派な食卓。
「今日はどう料理しようかな?」
と考えるところから、十分始められます。
れんこんの穴にも意味がある?
れんこんといえば、切ったときに見えるたくさんの穴。
あの穴は、泥の中で育つれんこんにとって大切な役割を持っています。
れんこんはハスの地下茎。
泥の中は酸素が少ないため、葉などから取り込んだ空気を地下の部分まで届けるための通り道が発達しています。
私たちが輪切りにしたときに見ている穴は、れんこんが泥の中で育つための仕組みの一部なんですね。
いつも食べている野菜も、少し調べてみるとおもしろいものです。
🥕 栄養のことも少しだけ
ここからは薬膳とは分けて、現代の栄養の視点から見てみましょう。
れんこんには、炭水化物や食物繊維、カリウム、ビタミンCなどが含まれています。
また、参考図書にはタンニンなどの成分も記載されています。
れんこんを切ると変色しやすいため、酢水につけてアク抜きをすることがありますが、参考図書では、アクの成分であるタンニン(ポリフェノール)は体に有用な物質でもあるため、アク抜きは短時間にすると記されています。
料理の仕上がりや食感に合わせながら、必要以上に長く水にさらさない。
そんな小さな工夫も覚えておきたいですね。
「寒だから」で終わらせない
今回のれんこんで、改めて感じるのが、
五性だけを見て、食材を判断しなくてもいい
ということです。
れんこんの五性は「寒」。
でも、参考図書では生と加熱後で働きを分けて考えています。
食材そのものの性質。
調理方法。
一緒に食べるもの。
季節。
そして、その日の自分の状態。
いろいろなものを合わせて食卓を考えるのが、薬膳のおもしろいところなのかもしれません。
🌿 今日の食卓で、一つだけ
れんこんを見かけたら、
今日はどうやって食べよう?
と考えてみませんか。
シャキシャキのきんぴらにする?
温かい煮物にする?
汁物に入れてみる?
「体にいいから食べなくちゃ」ではなく、
旬の食材をおいしくいただく。
そして、ときどき薬膳の視点を思い出してみる。
そんな食卓を楽しんでいきたいですね。
参考図書
この記事を書くにあたり、薬膳におけるれんこんの性質や働きについて、以下の書籍を参考にしました。
- 辰巳洋 主編・日本国際薬膳師会 編『早わかり薬膳素材―食薬の効能・性味・帰経』源草社
- 辰巳洋 主編『改訂新版 薬膳素材辞典―健康に役立つ食薬の知識』源草社
「秋の乾燥養生」
→梨・いちじく・れんこん



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